「軟水と硬水でコーヒーの味って本当に変わるの?」
「結局、どっちの水で淹れるのが一番美味しいんだろう?」
そんな疑問を抱いている方も、多いのではないでしょうか。
実は、水の硬度の違いは、コーヒーの味わいや口当たりを大きく左右する重要な要素と言われています。
そこで今回は、日本の代表的な軟水である「いろはす(硬度27.7mg/L)」と、フランスの超硬水「コントレックス(硬度約1468mg/L)」を用意し、水そのものの味からコーヒーにした時の味わいの変化まで、実際に飲み比べをしてみました!
国際基準(WHO)に基づいた「硬度の基準」や、検証を通して見えた日本のコーヒーカルチャーの考察まで、コーヒーソムリエの視点から詳しく解説します。
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【この記事の執筆・監修者】

全日本コーヒー商工組合連合会
コーヒーインストラクター2級
日本安全食料料理協会 コーヒーソムリエ
koyo(こーよー)
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目次
そもそも硬度とは?
硬度とは「水の中に、カルシウムとマグネシウムがどれくらい含まれているか」を表した数値のことです。
水の中には様々なミネラル(栄養素)が含まれていますが、その中の「カルシウム」と「マグネシウム」の2つの含有量のみに着目し、水1リットルあたりに何mg溶け込んでいるかを計算して数値化しています。
カルシウム・マグネシウムが少ない水 = 硬度が低い
カルシウム・マグネシウムが多い水 = 硬度が高い
硬度は「水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムの濃度を表す物差し」だとイメージすると分かりやすいです。
軟水と硬水の違い

軟水と硬水の決定的な違いは、水に含まれる「カルシウム」と「マグネシウム」の量(硬度)にあります。
一般的には、世界保健機関(WHO)が定める以下の基準によって、数値ごとに明確に区別されています。
| 水の分類(WHO資料による) | 硬度の基準値 |
| 軟水(Soft) | 60mg/L 未満 |
| 中硬水(Moderately hard) | 60mg/L 以上 〜 120mg/L 未満 |
| 硬水(Hard) | 120mg/L 以上 〜 180mg/L 未満 |
| 非常な硬水(Very hard) | 180mg/L 以上 |
国際的には上記の4段階が用いられますが、日本国内では「硬度100mg/L」を基準にして、100未満を軟水、100以上を硬水と区別しているケースも多く見られます。
これは厚生労働省が設置した「おいしい水研究会」が、おいしい水の要件(目標値)として「硬度10〜100mg/L」と定めており、ここから100という数値が定着したものと考えられます。
ちなみに、日本の水道水は地形や気候の影響もあり、そのほとんどが硬度100mg/L以下の「軟水」です。
そのため、私たち日本人にとって圧倒的に馴染みがあるのは軟水だと言えます。
■ 軟水の特徴
軟水はカルシウムやマグネシウムの含有量が少ないため、口当たりが軽やかで、さっぱりとしている。素材本来の風味を邪魔しないため、お茶やコーヒーから、出汁(だし)をとったりする和食の調理にも適していると言われる。
■ 硬水の特徴
硬水はカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれているため、口に含むと重くしっかりした独特の飲みごたえを感じる。効率的なミネラル補給には適しているが、人によっては少し引っかかるような苦味や渋味を感じることもあると言われている。
軟水と硬水で、コーヒーを飲み比べてみた


ここからは、実際に「軟水」と「硬水」を用意し、コーヒーの味わいがどのように変わるのかを検証していきます。
今回、味の違いをはっきりと比較するために、硬度の数値が大きく異なる2つのミネラルウォーターを用意しました。
| ミネラルウォーター | いろはす(日本の天然水) | コントレックス(フランス生まれの超硬水) |
| 硬度 | 27.7 mg/L | 約 1468 mg/L |
| カルシウム | 0.83 mg | 46.8 mg |
| マグネシウム | 0.17 mg | 7.45 mg |
| 分類 | 軟水 | 超硬水 |
2つの成分を見比べてみると、その差は一目瞭然です。
日本の代表的な軟水である「いろはす」の硬度が27.7mg/Lなのに対し、フランスの超硬水「コントレックス」の硬度はなんと約1468mg/L。
約50倍以上という、圧倒的な硬度の違いがあります。
100mlあたりに含まれるカルシウムとマグネシウムの量を見ても、コントレックスにはいろはすの数十倍のミネラルがぎゅっと詰まっていることが分かります。
これだけ成分に差がある水を使うことで、コーヒーの味にどのような違いが生まれるのでしょうか。
実際に飲み比べて、違いを確かめました。
まずは水だけで飲み比べてみた


コーヒーにする前に、まずは純粋に水としての味わいの違いを飲み比べました。
いろはす 口当たりがとてもいい。流れるように喉を伝っていくのが分かる。水道水とほぼ変わらない味。
コントレックス 口に入れた瞬間に、明らかに違和感がある。もたっとしていて、飲み心地があまりよくない
結論としては、まったく違う味がします。
こんなにも、硬度だけで味が変わるのかと、正直驚きました。
ただこれは、おいしいか、まずいかというよりも、口当たりの良さ悪さといった違いです。
硬水の一般的に言われている「苦みや渋み」といったニュアンスは、私が飲んだ限りでは、わざわざ言葉にするほど感じることはありませんでした。
ただ、人によっては「口の中の違和感が強い=苦い」と捉える人もいると思います。それくらい大きな違いを感じます。
軟水のコーヒーの味わい(いろはす)


ここからは、ハンドドリップで、同じコーヒー粉で同じ抽出条件で、飲み比べた結果をまとめます。
まずは、いろはす。
水で飲んだ時と同様に、とても口当たりがよく、酸味や甘みといったポジティブな味わいを、素直に感じ取ることができました。
軟水は、そもそも自分が毎日ハンドドリップで味わっている慣れ親しんだ味なので、特筆することはあまりないのですが、素材の持ち味がそのまま出ているといった感じです。
硬水のコーヒーの味わい(コントレックス)


次に、コントレックス。
まず、水の時に感じた強烈な違和感は、コーヒーになったことでかなり和らいでいます。
ただ、いろはすの時に感じられた、酸味や甘みのニュアンスが感じ取りにくくなりました。
その分、コクがしっかり出ていて飲みごたえのある味わいになったように感じます。
また、まろやかさもあります。
これは味の輪郭がぼやけたことで、個性がなくなり、結果として「まろやか」に感じられるといった、そんなイメージです。
軟水・硬水の比較検証をしてみて感じた筆者の考察

今回、軟水と硬水の飲み比べ検証をして、一つ私の中で感じたことがあります。
それは、近年の日本のコーヒー業界における、空前の「ハンドドリップ」と「スぺシャルティコーヒー」のブームです。
ハンドドリップで、自分の好みの味わいにコントロールする、その試行錯誤の趣味としての奥深さ。
そして、スペシャルティコーヒーの酸味主体の華やかなフレーバーを持ったコーヒー。
これらは「軟水」が持つ、口当たりの良さや、素材を魅力を引き出すカルシウムやマグネシウムの少なさが、このブームに大きく寄与しているのではないか、ということです。
私たちが、普段当たり前のように楽しんでいる「豆本来のフルーティーでクリアな後味」は、日本の恵まれた軟水環境があってこそ成り立っている贅沢な味わいなのかもしれません。
一方で、今回の検証で分かった通り、硬水を使えば「酸味を抑えてコクやボディを引き出す」というアプローチも可能です。
一度、この超硬水として知られる「コントレックス」で、その違いを体験してみたください!
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