こんにちは!
コーヒーインストラクター2級のkoyo(こーよー)です。
みなさん、精製ってご存じですか?
コーヒーの産地や焙煎度合いは、コーヒーの味を決めるうえで大きなウェイトを占めます。
ただ今回、説明する精製という工程も、コーヒーの味を大きく左右する大事な工程の一つです。
今回の記事を読むことで、コーヒーの精製方法の違いが分かり、より自分の好みに合ったコーヒーを選べるようになります。
精製とは?
精製方法の違いを説明する前に、まず精製そのものが分からないという方のために、簡単にご説明します。
精製とは、果実から乾燥して生豆にするまでの工程を言います。
まず、コーヒーはフルーツです。
ご存じでない方がいらっしゃるかもしれませんが、コーヒーの木は育つと赤い実が生ります。
私たちが普段見ている茶色のコーヒー豆というのは、その赤い果実の中にある生豆を焙煎したものです。
この赤い果実をどのような工程で生豆にまで持っていくかが精製の大きな要素です。
またそれが、コーヒーの味を大きく左右する部分でもあります。
精製方法は主に、ウォッシュト、ナチュラル、ハニーの3種類があります。
ではその3種類の精製工程の違いと、それが味に与える影響を順番に説明していきます。
ウォッシュト
まずは、ウォッシュトの簡単な流れを見ていきましょう!
ウォッシュトの工程
まず、赤い実が熟したら収穫をします。
その後、パルパーと呼ばれる皮むき機に果実を通すことで、皮と果肉を取り除きます。
そうすると、ミューシレージと呼ばれる糖分を含んだ膜にくるまれた生豆の状態になります。
この状態で1日~2日など、決められた時間、おいておくことで微生物が糖分を分解してくれます。
これが発酵です。
発酵が進むとミューシレージが溶けてベタベタになってきます。
次に水を使ってそのミューシレージを落としていきます。
手揉み洗いで落としたり、ブラシを使ったりなど、その水洗方法は精製所によって様々です。
その後、乾燥台になるべく重ならないように広げて天日干しします。
水分が抜けたらパーチメントと呼ばれる薄皮がまだ残っているので、最後にそれを脱穀して生豆になります。
ウォッシュトにおける味への影響
ウォッシュトは、皮、果肉、ミューシレージと、コーヒーが持つ果実としての糖分を洗い落してから乾燥させます。
味としては、よりクリアですっきりとした華やかな明るい酸味が出てきます。
また、水洗いしてミューシレージを落とすことで発酵を止めることができます。
言い方を変えれば、発酵をコントロールできるのです。
これは味の再現性、安定性という面においてもプラスになります。
ナチュラル
続いて、ナチュラルの流れを見ていきましょう!
ナチュラルの工程
ご覧の通り、ナチュラルの精製工程は非常にシンプルです。
果実を収穫したら、そのままの状態で乾燥台に広げて乾燥させます。
その後、水分が抜けたら脱穀し、生豆にします。
ナチュラルにおける味への影響
ナチュラルは、果実のまま乾燥するというそのシンプルさから、発酵がより進み、味は非常に個性的でフルーティな味として出てきます。
ナチュラルを飲んだことがない人は、きっとコーヒーのイメージが変わりますよ!
私自身、スペシャルティコーヒーのナチュラルを初めて飲んだ時に「これは本当にコーヒーなの?」と、疑ってしまうくらいの驚きがあったのを今でも忘れません。
コーヒーのブラックは苦くて嫌い!という方には絶対に飲んでほしいです。
そしてナチュラルは、発酵の度合いがコントロールできないので、味の再現性は低くなってしまいます。
あの味がおいしかったから、もう一度と買ってみたら、風味が変わっていたなんてことはよくあることです。
ただ、その一期一会を楽しむコーヒーファンが多いのも事実です。
ハニー
最後にハニーの流れを見ていきましょう!
ハニーの工程
ハニーは一言でいうと、先ほど説明したウォッシュトとナチュラルの良いとこどりの精製方法です。
まずは、ウォッシュトと同様に、収穫したら皮むきをします。
その後、時間をおいて発酵させるんですが、ここからがハニー独特の精製になります。
この時点ではまだミューシレージと呼ばれる糖分を含んだ膜をまとっています。
ウォッシュトなら、ここでそのミューシレージを水で洗い落します。
でもハニーでは水で洗い落さずに、ミューシレージを残したまま乾燥させ、乾いたら脱穀します。
ハニーにおける味への影響
ハニーはナチュラルほどは発酵が進みませんが、ウォッシュトよりはフルーティーな味わいを付与することができます。
そしてハニーがよいところは、その発酵の度合いをコントロールできるという点です。
近年ではミューシレージをどれだけ残した状態で乾燥するか、そこをコントロールすることで味に変化を持たせようと研究が盛んになっています。
しっかり残すものはブラックハニー、少ししか残さないものはホワイトハニーといったように、レベル区分が行われるまでになっています。
味の再現性とフルーティーな味わいの両立を実現しようとする、今後も注目の精製方法になるでしょう。
まとめ
この記事を読んだことで、精製方法の違いがいかにコーヒーの味に影響を与えているのかが分かったかと思います。
一般的に流通量が多いのはウォッシュトなので、ナチュラルやハニーを飲んだことがない人は多いと思います。
まずは自分の舌でこの3種類を飲み比べて、違いを楽しんでみてください。
そこで好みが分かれば、これからは産地や焙煎度合いでコーヒーを選ぶのではなくて、精製方法でコーヒーを選ぶという一歩進んだ価値観にあなたもきっとハマることでしょう!