レインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance)という言葉をご存じですか?
言葉は知らなくても、緑のカエルのマークをバナナやコーヒーのパッケージで見たことがあると思います。
レインフォレスト・アライアンスは持続可能な社会を目指す森林保全を支援する団体です。
ただ、実際のところどういう基準でこのマークが認証されているかなど分からないことが多いと思います。
この記事では、公式サイトで書かれているややこしい資料をなるべくわかりやすく噛み砕いて解説し、実際の認証商品の紹介も行っていきます。
また「やばい」と噂になっている真相にも迫るので、ぜひ最後まで目を通していただけると嬉しいです。
正しい理解をすることが、正しい環境保全に繋がります。
レインフォレスト・アライアンス認証とは?
レインフォレスト・アライアンス認証は、環境保護や社会的責任を重視した商品に与えられる認証制度です。
認証を取得するには、環境保全、生産者の労働環境、経営の透明性などの基準をクリアする必要があります。
この認証マークを持つ商品を購入することで、私たち消費者も自然環境の保護や労働者支援に貢献できます。
レインフォレスト・アライアンスの活動実績
レインフォレスト・アライアンスの意味
レインフォレスト・アライアンスとは、環境に配慮した農業や森林保全を支援する国際的な非営利団体です。
私たちの生活の中で、カエルのマークが付いた商品を見たことがありませんか?
このカエルのマークが付いたものが、レインフォレスト・アライアンス認証商品です。
この認証商品を買うことで、環境に配慮した農家にお金が回ります。
つまり、消費者も間接的ではありますが、商品を購入するだけで環境保全に支援することができます。
地球環境の問題において「サステナブル」という言葉がよく使われますが、この言葉は「持続可能な」という意味を持っています。
レインフォレスト・アライアンスも同様に、持続可能な社会を目指した環境保全団体の一つと言えるでしょう。
なぜカエルが認証マークなの?
レインフォレスト・アライアンスの認証マークがカエルになっている理由は、アカメアマガエルが熱帯雨林の自然の象徴とされているからです。
アカメアマガエルが元気に生息していれば、その熱帯雨林の自然が守られている証拠にもなり、これを生物指標とも言います。
生物指標になる生物は、限られた環境条件でしか生息できないため、環境保全を推進するレインフォレスト・アライアンスにピッタリの生物です。
レインフォレスト・アライアンスの認証基準は?
レインフォレスト・アライアンスの認証を受けるには、基準をクリアしなければいけません。
公式サイトに公開されているレインフォレスト・アライアンス持続可能な農業条件という資料に、その基準が詳しく書かれています。
ただこの資料は、93枚ものスライドがあり分かりにくいため、以下に簡潔に内容をまとめました。
認証基準をざっくりまとめると以下の5点
- 環境保護
- 労働者の権利と福祉
- 農業経営の透明性
- 地域社会の貢献
- リスク管理
認証審査では、これらの要素が総合的な観点で評価されます。
また認証を受けるには以下のような証拠資料の提出が必要になっています。
認証後も毎年モニタリングや再審査が行われるため、一度取ったらOKではありません。
これは、持続可能な自然環境と農業を維持するためには、継続することが必要不可欠だからです。
レインフォレスト・アライアンスとSDGsの関係
SDGsとは、2015年9月に国連サミットで加盟国の全会一致で決められた、2030年までに持続可能なよりよい社会を目指す国際目標です。
17の目標とそれぞれに169のターゲットが設定されており、レインフォレスト・アライアンスはこの中の15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」(参考:ユニセフ)に関わっています。
15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」の重要な部分を抜粋し、わかりやすくまとめました。
15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」をわかりやすくまとめると
- 生態系を守る、絶滅危惧種の保護
- 森林の減少を食い止める
- 砂漠、干ばつ、洪水などで衰えた土壌の回復
- 微生物などの遺伝資源を公平に適切に使うことができるようにする
- 密漁や野生生物の取引をなくす
- 開発途上国が持続可能な森林の管理を進められるようにする
(参考:ユニセフ)
この中で「開発途上国が持続可能な森林管理を進められるようにする」ことは、まさにレインフォレスト・アライアンスが行っている活動そのものです。
つまりレインフォレスト・アライアンスはSDGsの目標に取り組む団体で、私たちはそれらの認証商品を購入することで、私たち自身もSDGsの目標に取り組んでいることになります。
レインフォレスト・アライアンス認証では遺伝子組み換えは認められない
レインフォレスト・アライアンス認証農場では、遺伝子組み換えの作物は認められていません。
これは公式サイトでもしっかりと明記されています。
遺伝子組み換え作物は、野生種と混ざることで自然界の遺伝が損なわれる恐れがあります。
また一部の遺伝子組み換え作物の中には、特殊なたんぱく質を持つものがあり、これが土壌に蓄積することで他の生態系に影響を与える可能性があります。
以上のことから、レインフォレスト・アライアンスでは遺伝子組み換え作物は認められていません。
UTZ認証もレインフォレスト・アライアンスと合併した
UTZは、最初は「UTZ kapeh」(ウッツ・カペイ)として2002年に開始されました。
「UTZ kapeh」は、グアテマラのマヤ言語で「良いコーヒー」を意味するコーヒーの認証プログラムの一つです。
元はグアテマラのコーヒー農家とオランダの焙煎会社の間で始めた1企業の取り組みでした。
その後、持続可能な社会の取り組みとして信頼性の高い認証プラグラムとして2016年に「UTZ」となりました。
そして、2018年にはレインフォレスト・アライアンスと合併しています。
そのためUTZ認証を取得している農園はレインフォレスト・アライアンスの認証へ移行が進められています。
レインフォレスト・アライアンス認証商品の代表例
それでは、レインフォレスト・アライアンス認証商品の代表例を紹介していきます。
私たちの生活の中でよく目にする商品ばかりであることが分かると思います。
バナナ:環境に優しい農業で作られるフルーツ
レインフォレスト・アライアンス認証を受けたバナナは、持続可能な農業方法で栽培されています。
この認証により、生産者は農薬の使用を抑え、土壌や水質の保全に努めています。
また、生産者の適正な労働環境も確保されており、生活の安定にもつながっています。
スーパーで販売されている多くのバナナにはこの認証が付いており、私たちの購入が環境保護や生産者支援に直結します。
手に取る機会が多いバナナだからこそ、認証マークを確認しながら選ぶことが簡単に実践できる環境保護の第一歩です。
代表的なメーカーや商品
Dole
コーヒー豆:味と環境を両立する選択
コーヒー豆は、レインフォレスト・アライアンス認証商品として特に人気の高いアイテムです。
この認証を受けたコーヒー農園では、森林伐採を最小限に抑え、農園周辺の生態系保護を徹底しています。
また、生産者への公正な価格保証や労働環境の改善にも取り組んでおり、消費者として環境保護と社会貢献に参加できる選択です。
認証を受けたコーヒーは、一定の品質が保たれているため、安心しておいしいコーヒーを楽しむことができます。
コーヒー愛好家は、ぜひ購入時に認証マークを確認してみてください。
代表的なメーカーや商品
ネスカフェ、ローソンのコーヒー、マクドナルドのコーヒー
紅茶:伝統的な飲み物の新しい選び方
紅茶は、私たちの日常に深く根付いている飲み物ですが、レインフォレスト・アライアンス認証を受けた商品を選ぶことで、さらに特別な一杯を楽しむことができます。
この認証紅茶は、自然環境への配慮と、生産者の公正な待遇を重視した農園で栽培されています。
また、茶葉の栽培過程での水や土壌の保護が行われており、長期的な生産性を確保しています。
特に大手ブランドでは認証紅茶が広く展開されており、普段購入している商品にも認証マークがついているものが多いかもしれません。
代表的なメーカーや商品
リプトン
チョコレート:甘い楽しみをサステイナブルに
レインフォレスト・アライアンス認証を受けたチョコレートは、カカオ生産者の生活を支えると同時に、環境保護にも貢献しています。
特に、熱帯雨林の伐採を防ぎ、生態系を守るための取り組みが行われています。
カカオ農園での作業環境の改善や、児童労働の排除に繋がるのも重要なポイントです。
また、認証チョコレートは、高品質で風味豊かな商品が多く、甘いおやつを楽しみながら環境や社会に配慮できます。
代表的なメーカーや商品
ネスレの「KitKat」、コープのカカオチョコレート
公式サイトでレインフォレスト・アライアンス認証商品一覧が見れる
レインフォレスト・アライアンスの公式サイトでは、認証を受けた商品一覧を確認することが可能です。
バナナやコーヒー豆、紅茶、チョコレートなど、日常的に使う商品が数多く掲載されており、ブランドやメーカーの公式サイトのリンク等も記載されています。
公式サイトには、認証の基準や取り組みについても学ぶことができるため、購入時の参考になるだけでなく、サステイナブルな選択の重要性をより深く知ることができます。
レインフォレスト・アライアンスが「やばい」と言われる理由
レインフォレスト・アライアンスは環境保護や持続可能性を推進する団体ですが、批判的な意見もあります。
なぜ「やばい」と言われるのかその理由を解説します。
バナナに農薬が残留しているという危険性
レインフォレスト・アライアンス認証のバナナでも、農薬の残留が指摘されることがあります。
認証基準では農薬の使用を厳しく管理しているものの、完全に農薬を排除するわけではありません。
そのため、一部の消費者からは「環境保護や健康への配慮が不十分」との批判が寄せられています。
特に最近ではYoutubeやTikTokといったSNSでバナナの残留農薬のことが広く知れ渡り「やばい」と言われることが多くなりました。
また、農薬が生産者の健康に与える影響も問題視されており、安全性を保証する取り組みが十分なのか疑問視されています。
これを防ぐためには、認証基準のさらなる強化や、消費者が購入時に情報を確認する習慣を持つことが重要です。
酷使される労働環境と人権
レインフォレスト・アライアンス認証農園では、労働者の権利を守るための基準が設けられていますが、実際には基準が徹底されていないケースもあります。
一部の農園では、過酷な労働環境や低賃金が報告されており、「認証が単なるブランド化しているだけではないか」との声も聞かれます。
また、児童労働問題も存在し、認証基準の信頼性に疑問を持つ人も少なくありません。
認証の意味を守るためには、定期的な監査や不正を厳しく取り締まる体制が不可欠になるでしょう。
大規模なバナナ栽培は果たして環境に良いのか?
レインフォレスト・アライアンス認証は環境保護を目的としていますが、大規模農業の持続可能性に関する批判も存在します。
バナナ栽培のために森林が伐採されるケースや、生態系への影響が懸念されています。
また、大量の水資源を消費する点も問題視されており、地元の住民にとって水不足を引き起こす可能性が指摘されています。
認証を受けた農園であっても、大規模農業の問題を完全に回避することは難しいのが現状です。
これには、より小規模で地域密着型の農業への転換が求められています。
レインフォレスト・アライアンスのまとめ
レインフォレスト・アライアンスは、環境保護や持続可能な社会の実現を目指す認証団体です。
認証商品を選ぶことで、消費者も間接的にその環境活動を支援できます。
ただし、農薬の問題や労働環境、そして大規模農業の影響といった課題も存在します。
これらを踏まえた上で、自分の価値観に合った選択をすることが重要です。
認証マークを見つけた際には、その背景にある取り組みを理解し、サステイナブルな未来のために役立てていきましょう。
選ぶ力が、私たちの未来を変える一歩になります。