ハリオ スイッチの保温性を徹底検証!ガラス・樹脂(MUGEN・NEO)で抽出温度はどう変わる?

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ハリオ スイッチの保温性を徹底検証!ガラス・樹脂(MUGEN・NEO)で抽出温度はどう変わる?

誰でも手軽に安定した抽出ができる、ハリオの「浸漬式ドリッパー スイッチ」

スイッチは、台座からドリッパー部分を取り外し、「V60 NEO」や「MUGEN」などの別素材ドリッパーに付け替えて抽出スピードや味わいをカスタムできるのも大きな魅力です。

しかし、ここで気になるのが「ドリッパーの素材によって、保温性にどれくらい差が出るのか?」という点。

お湯を数分間溜めて抽出する浸漬式だからこそ、ドリッパー自体の冷めやすさは抽出効率やコーヒーの味わいに直結します。

そこで今回は、スイッチ標準の「耐熱ガラス」に加え、「NEO(トライタン樹脂)」「MUGEN(AS樹脂)」の3種類を用意。

「予熱あり・なし」の計6パターンで、90℃のお湯を3分間溜め、実際の湯温変化を徹底的に検証しました。

「ガラスと樹脂、どっちが冷めにくい?」
「やっぱり湯通し(予熱)は必須?」

と、気になっている方は、ぜひドリッパー選びや普段の抽出の参考にしてみてください。

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【この記事の執筆・監修者】

全日本コーヒー商工組合連合会
コーヒーインストラクター2級
日本安全食料料理協会 コーヒーソムリエ
koyo(こーよー) 

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ハリオ スイッチはドリッパーの「付け替えカスタム」が魅力!

ハリオ スイッチは、台座部分からドリッパーを取り外して別のドリッパーへ自由に付け替えられるのが大きな魅力です。

まずは、スイッチに装着できる代表的な互換ドリッパーと、今回なぜ「素材による保温性の違い」に注目したのかを解説します。

スイッチのシリコン台座にセットできるドリッパー(ガラス・NEO・MUGEN)

スイッチのシリコン台座にセットできるドリッパーの実物、左からMUGEN、ガラス、NEO
左からMUGEN、ガラス、NEO

ハリオ スイッチの大きな特徴は、シリコンゴム製のベース(台座)から上部のドリッパー部分を簡単にスポッと引き抜ける構造になっている点です。

この台座は、標準のガラスドリッパーだけでなく、ハリオのV60規格(ホルダーなしタイプ)のさまざまなドリッパーを装着してカスタマイズできます。

今回ピックアップしたのは、素材やリブ形状が異なる以下の3種類です。

標準ガラスドリッパー(耐熱ガラス製)
スイッチ購入時にセットされている定番モデル。高級感と重量感があり、クリアな見た目が特徴です。

V60 ドリッパー 02 NEO(トライタン樹脂製)
医療器具や高級哺乳瓶にも使われる高機能コポリエステル「トライタン」を採用したモデル。ガラス並みの高い透明度を持ちながら、落としても割れない強靭さを備えています。また、抽出速度はV60よりも速いことで知られています。

V60 1回抽出ドリッパー MUGEN(AS樹脂製)
内側のリブが星型になっており、ペーパーフィルターが密着して抽出速度がゆっくりになる設計のドリッパー。スイッチの台座と組み合わせることで、通常のV60とはまた違った湯落ちスピードを楽しめます。

このように、ドリッパーを取り替えることで「落とすスピード」や「味わいのキャラクター」をコントロールできるのがスイッチの奥深い面白さです。

なぜ浸漬式で「保温性(素材)」が重要なのか?

ドリッパーの付け替えで「抽出スピード」や「利便性(軽さ・割れにくさ)」に注目が集まりがちですが、見落とせないのが「保温性の違い」です。

お湯を注ぎながら通り抜けさせる一般的な「透過式」のドリップと違い、スイッチのような「浸漬式」はドリッパーの中にお湯を2〜3分間溜めっぱなしにします。

そのため、ドリッパーの素材が持つ熱伝導率や冷めやすさの影響をダイレクトに受けます。

  • ドリッパーが熱を吸い取ってしまうと…
    注いだ直後に急激にお湯の温度が下がり、コーヒーの成分(特に浅煎りのフルーティーな酸味やアロマ)が十分に溶け出さず、平坦な味(未抽出)になりやすくなります。
  • 安定した温度をキープできると…
    抽出レシピ通りの温度帯でじっくり成分を引き出せるため、狙い通りのボディ感や甘みを再現しやすくなります。

「ガラスと樹脂、どちらが熱を逃がしにくいのか?」「予熱(湯通し)をサボるとどれくらい冷めるのか?」

この疑問をクリアにするため、今回は実際に温度計を使って厳密に測定してみました。

※ハリオ スイッチの基本的な特徴や仕様については、以下で解説しています。

【検証】スイッチの保温性は素材別・予熱の有無でどう変わる?

素材による温度変化を正しく比較するため、同一環境下で「予熱あり」「予熱なし」の計6パターンを測定しました。

ここでは、今回の実験条件とデータの正確性を保つために行った工夫を紹介します。

検証の前提条件(湯温90℃・湯量200g・3分間・室温約27℃)

浸漬式の標準的なレシピをベースに、以下の条件で統一してテストを行いました。

  • 注ぐ湯温: 90℃(電気ケトルで正確に温度管理)
  • 注ぐ湯量: 200g(コーヒー粉やペーパーはセットしません、純粋な保温性比較のため)
  • 浸漬時間: 3分間(スイッチの弁を閉じた状態で静置)
  • 検証環境: 室温 約26~27℃(エアコン管理)
  • 比較対象:ガラス(耐熱ガラス)、NEO(トライタン樹脂)、MUGEN(AS樹脂)
  • 測定パターン: 各ドリッパー「予熱なし」「予熱あり(注ぐ直前に湯通し)」の計6回

台座や測定機が3つ揃えられなかったため、同時に並べるのではなく、1回ずつ条件を完全にリセットしながら順番に計測しています。

測定精度を高めるための2つの工夫

測定時のデジタル温度計の先端の精度を高めるためにシリコンに充てる

正確な湯温データを取るため、計測時には以下の2点に細心の注意を払いました。

1. 台座(シリコンゴム)を事前に温めてリセット

連続で計測すると、2回目以降はシリコーン台座が前の熱を蓄えた状態になってしまいます。最初の1回目だけ冷たい台座で計測される不公平を防ぐため、今回の検証の1回目の計測前にもお湯を通して3分温めました。

2. 温度計の先端を「底のステンレス球」に触れさせない

スイッチの底面には、お湯をせき止めるための「ステンレス球」が入っています。デジタル温度計の先端(金属の感温部)がこのステンレス球に直に触れてしまうと、お湯の温度ではなく「球の金属温度」を拾って数値が狂ってしまいます。球が先端にどのくらい触れるかでも結構変わってしまうので、温度計の先端は、玉ではなく台座のシリコン部分のおさまりがいい同じ場所に充てるという条件で測定しています。

【検証結果】ガラス・NEO・MUGENの温度変化まとめ

予熱あり、なしで、3つの素材を6パターン測定している様子

計6回の測定を行ったところ、素材ごとの熱の吸われやすさや予熱の影響が、数字としてはっきりと現れました。

まずは、全体の測定結果から見ていきましょう。

3分後の湯温データ一覧

表の温度は、90℃のお湯の3分後の数値です。

ドリッパー(素材)予熱なし予熱あり予熱による温度差
ガラス(耐熱ガラス)68.4℃73.7℃+5.3℃
NEO(トライタン樹脂)71.2℃73.6℃+2.4℃
MUGEN(AS樹脂)72.3℃73.2℃+0.9℃

【ガラス】予熱なしは急激に冷める!ただし予熱ありなら保温性トップ

標準の耐熱ガラスは、「予熱の有無で最も温度差が出たドリッパー」でした。

  • 予熱なし(68.4℃)
    90℃から20℃以上も湯温が下がり、今回測定した中で唯一70℃を下回る結果に。ガラス自体の厚みと重量があるため、注いだ瞬間にお湯の熱を急激に奪ってしまうことが分かります。
  • 予熱あり(73.7℃)
    注ぐ直前に湯通しをしておくことで、3種類の中で最も高い「73.7℃」をキープしました。

「ガラスはひんやりしてるので冷めやすい」と思われがちですが、しっかり予熱さえしてしまえば熱を逃がしません。

逆に言えば、ガラスでスイッチを使うなら、事前の湯通しをしないと結構温度は下がると認識しておいた方がいいでしょう。

【NEO・MUGEN】樹脂製は予熱なしでも強い!樹脂による素材の差はごくわずか

樹脂製の2種類(NEO・MUGEN)は、「予熱をしなくても温度が下がりにくい」という優秀な安定感を見せました。

  • 予熱なしでも70℃台をキープ
    NEOは71.2℃、MUGENは72.3℃と、予熱なしのガラス(68.4℃)に比べて明らかに熱が逃げていません。
  • 予熱の影響が少ない
    予熱をした場合との温度差は、NEOで+2.4℃、MUGENに至ってはわずか+0.9℃。湯通しをサボっても抽出温度への影響は少なめです。
  • トライタン樹脂とAS樹脂の差はほぼ誤差
    最新素材であるNEOの「トライタン樹脂」と、MUGENの「一般的なAS樹脂」を比べても、温度差は1℃前後。保温性能の観点では、樹脂の素材差を気にする必要はほとんどありません。

「わざわざドリッパーを温めるのが面倒」「サッと手軽に淹れたい」という普段使いにおいては、樹脂製の扱いやすさが際立つ結果となりました。

▼ 実際の測定の様子は、こちらの動画でも確認できます。

検証から分かった!ドリッパー素材別の選び方とおすすめ運用

今回の検証結果を踏まえると、ドリッパーの素材選びは「何を優先してコーヒーを淹れたいか」によって分かれます。

それぞれのメリットと、シチュエーションに応じたおすすめの選び方を整理しました。

手軽さと安定性を求めるなら樹脂製(NEO / MUGEN)

毎日のドリップで「とにかく手軽に、ブレのない味を楽しみたい」という方には、間違いなく樹脂製(NEOまたはMUGEN)がおすすめです。

  • 予熱なしでも温度が下がりにくい
  • 割れる心配がなく、扱いがラク

「抽出前のひと手間を減らしたい」「安定した抽出温度を手軽にキープしたい」という日常使いの運用において、樹脂製のコスパと実用性は圧倒的です。

予熱しても樹脂との差はわずか!それでも「ガラス」を選ぶ理由は?

ガラスのスイッチの組み合わせ

検証の通り、しっかり予熱してもガラスと樹脂の温度差はわずか0.1〜0.5℃。保温性だけを目的にガラスを選ぶメリットは薄いと言えます。

予熱をサボると一気に冷めるというシビアさがありながら、それでもガラスが愛されるのは「温度以外の魅力」があるからです。

  • 傷がつかず、匂い移りゼロ
    樹脂のように細かい擦り傷やコーヒーオイルの着色が起きず、何年使ってもクリアで清潔な状態をキープできます。
  • 冬場に頼もしい「蓄熱性」
    今回は室温26~27℃での検証でしたが、真冬の冷え込んだ室内では、事前にしっかり温めておくことで外気による底冷えを防ぐ強みがあります。
  • 道具としての質感と重厚感
    耐熱ガラスならではの透明感とズッシリとした重みは、樹脂製にはない高い所有欲を満たしてくれます。

「予熱の手間を惜しまず、道具として長く美しく愛用したい」という方には、ガラス製がベストな選択肢です。

まとめ:ハリオ スイッチはドリッパー付け替えでさらに化ける!

ハリオスイッチの台座とMUGENとNEOを並べた様子

ハリオ スイッチの台座に異なるドリッパーをセットし、素材別の保温性と予熱の影響を検証しました。

今回のポイントを整理すると、以下の通りです。

  • ガラス製は「予熱」が命: 予熱なしでは68.4℃まで急激に冷めたが、しっかり温めれば高い温度(73.7℃)をキープできる
  • 普段使いなら「樹脂製」が圧倒的にラク: 予熱を省いても71〜72℃台を維持し、冷めにくい安定感がある
  • トライタンと通常樹脂の差はほぼ誤差: NEOとMUGENで保温力に大きな差はないため、抽出スピードやリブ形状の好みで選んでOK

「手軽に安定した味を出したいなら樹脂製」「予熱の手間をかけてでも耐久性やクリアな質感を味わいたいならガラス製」と、自分のスタイルに合わせて使い分けるのがおすすめです。

お気に入りのドリッパーをセットして、スイッチならではの奥深い抽出カスタムを楽しんでみてください。


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