喫茶店に行くと、サイフォンでコーヒーを淹れているお店をみかけることがあります。
最近では新しいお店でも、サイフォンの見た目と味わいを求めて、あえてサイフォン抽出にこだわっているお店もあります。
ただサイフォンというと、自分の家でやるイメージはあまりありません。
確かにサイフォン器具は、家庭用も売っていますが、アルコールランプを使用するという点がとっつきにくく、敬遠されがちです。
そこで家庭でも手軽にサイフォンが楽しめるよう開発されたのが、ハリオの電気式サイフォン(Electric Coffee Syphon)です。
この記事では、サイフォンの仕組みに触れて、直火式と電気式のメリットを比較しながら、ハリオの電気式サイフォンを紹介します。
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※商品画像は HARIO 株式会社様より使用許諾を得ています。
目次
そもそもサイフォンとは?

サイフォンは、コーヒーの抽出方法の中でも、理科の実験のような面白さと独特の味わいを楽しめる器具です。
フラスコとロートを使用し、気圧の変化を利用してコーヒーを淹れる点が特徴です。
ここでは、サイフォンの歴史とその原理について詳しく解説します。
サイフォンの歴史
サイフォン式コーヒーメーカーの起源は19世紀初頭にさかのぼります。
発明された国についてはフランス説とドイツ説がありますが、最初に特許が確認されているのはフランスです。
1840年代にフランスで「バキューム・コーヒーメーカー」として、今のサイフォンに近い構造の器具が開発されました。
その後、各国で改良が進み、現在のような二つのガラス容器を使用した形が確立されていきます。
日本には20世紀初頭に伝わり、戦後の喫茶文化とともに広まりました。
特に、1950年代以降の喫茶店ブームによって、日本独自のサイフォン技術が発展し、現在も専門店や家庭で親しまれています。
サイフォンの原理

サイフォンは、気圧と真空の原理を利用してコーヒーを抽出する仕組みになっています。
具体的には、以下のようなプロセスでコーヒーが淹れられます。
サイフォンの原理
加熱による圧力変化
下のフラスコに水を入れて加熱すると、水が温められて蒸気が発生します。この蒸気がフラスコ内の圧力を上昇させ、お湯がロートへと押し上げられます。
コーヒー粉との接触・攪拌
上昇したお湯はロート上部のコーヒー粉と混ざり、一定時間抽出されます。この間、攪拌することで均一に成分を引き出すことができます。
冷却による真空効果
火を止めるとフラスコ内の温度が下がり、蒸気が冷えて体積が減少します。これによりフラスコ内の圧力が下がり、ロートのコーヒー液がフィルターを通ってフラスコへ戻ります。
完成
上部のロートにはコーヒー粉の残りカスだけが残り、下部のフラスコには抽出されたコーヒーが溜まります。このプロセスによって、サイフォンならではのクリアで香り高いコーヒーが完成します。
直火式サイフォンのデメリット
直火式サイフォンは、そのクラシックな見た目と、本格的な抽出過程を楽しめる点で人気があります。
しかし、使いこなすには少々手間がかかるため、事前にデメリットを把握しておくことが大切です。
ここでは、主な注意点について解説します。
火の取り扱いに注意

直火式サイフォンは、アルコールランプやガスバーナーの直火を使用して湯を沸かすため、火の管理が必要になります。
特に以下の点に注意が必要です。
用意やお手入れが煩わしい

直火式サイフォンは、見た目の美しさとともに、抽出過程を楽しむ道具ですが、準備や後片付けに手間がかかるのも事実です。
ハリオの電気式サイフォンのメリット

ハリオの電気式サイフォンは、直火式のクラシカルな雰囲気を残しつつ、手軽さと安全性を兼ね備えたモデルです。
従来のサイフォンのデメリットをカバーしつつ、美味しいコーヒーを楽しめる点が魅力です。
ここでは、ハリオの電気式サイフォンのメリットを詳しく紹介します。
火を使わないので安全
ハリオの電気式サイフォンは、直火を使わず電源に接続するだけで使用できるため、安全性が格段に向上しています。
具体的には以下のようなメリットがあります。
- 火災のリスクがない
- やけどの危険を軽減
- 換気の心配が不要
電気式でも熱くなることには変わりませんが、直火で熱せられたガラスに比べるとその温度は低く、万が一何かあったときのケガも軽症で済みます。
ペーパー式でお手入れかんたん

ハリオの電気式サイフォンは、布フィルターではなくペーパーフィルターを採用しているため、後片付けが簡単です。
具体的には以下のようなメリットがあります。
- 使い捨てのためフィルターの手入れが不要
- 後片付けがラク
従来型の布フィルターは、ネルドリップのフィルターと同様に水に浸して冷蔵保管しなければいけません。
紙フィルターならその煩わしさとはおさらばです。
ちなみにハリオのサイフォンでは、ペーパーフィルターは下記のモデルにも対応しています。
- モカ
- テクニカ
- ヌーヴォー
※ペーパーフィルターはろ過器に装着して使用するため、ろ過器の型番とフィルターが対応していなければいけません。
また逆に電気式サイフォンで、布フィルターを使うこともできます。
詳細は【HARIO NETSHOP】で、対応ろ過器とペーパーをご確認ください。

A5サイズ程度のコンパクト設計
ハリオの電気式サイフォンは、サイフォンの優雅なガラスのデザインをそのままに、よりコンパクトな設計になっています。
幅を取らないA5サイズ相当の大きさなので、狭いキッチンや作業スペースでも気軽に設置できます。
電気式サイフォンは、毎日手軽にサイフォンを楽しむことが目的なので、このコンパクト設計はありがたいです。
手軽にサイフォンの魅力が味わえる

電気式サイフォンは、コーヒーの抽出過程を視覚的に楽しめるサイフォンの醍醐味を、そのまま手軽に体験できるのが大きなメリットです。
- ツマミを回すだけで簡単に加熱できる
- サイフォンならではのクリアな味わい
- 抽出の過程を視覚的に楽しめる
ハリオの電気式サイフォンは、今までサイフォンを敬遠した人でも、取り入れてみようかなと思わせるだけの手軽さが魅力です。
ハリオの電気式サイフォンのデメリット
ハリオの電気式サイフォンは、火を使わずに安定した抽出ができる点が魅力です
ただ、一方で以下のようなデメリットも存在します。
ハリオの電気式サイフォンの使い方


ハリオの電気式サイフォンの使い方を解説します。
まずはハリオ公式が推奨しているの引き目と粉、湯量です。
続いて、手順を紹介します。
ハリオの電気式サイフォン「Electric Coffee Syphon(型番ECA-3-B)」手順
- ろ過器にペーパーフィルターをセットする
- はみ出た部分は上向きに折り癖をつけておくと設置しやすい
- ろ過器を上部パーツの底に置く
- 下から出た鎖を引っ張り、フックをひっかけて固定する
- 上部パーツは、付属のフタがスタンド代りになるためそこに立てて置く
- 上部パーツにコーヒー粉を入れる
- 下部パーツに水かお湯を入れる(お湯の方が早くできる)
- 下部パーツをヒーターにセット
- 上部パーツを下部パーツの穴にナナメに立てかけて、すぐセットできるようにしておく
- ダイヤルを「max」にする
- 上部パーツのろ過器の鎖から泡が出てくるまで待つ。(これが沸騰の合図)
- ダイヤルを「mid」にし熱を弱め、上部パーツと下部パーツに差し込みセットする
- お湯が上部パーツに移動する
- コーヒー粉がお湯に馴染むよう攪拌する
- お湯がすべて上に移動してから、40~60秒ほどその状態を維持する
- 時間が経ったら、ヒーターからはずす。
- 上部パーツのコーヒー液が下部パーツに降りてきます。
- すべてコーヒー液が下りれば、上部パーツを外し、スタンド代りのフタに仮置きする
- 下部パーツがそのままサーバー代りになるため、カップに注ぐ
- ダイヤルを「off」にし、長期で使用しないのであれば電源プラグを抜く

手順が多く感じますが、実際やって見れば、ダイヤルを回して沸騰したらセットして終わったら外すという単純な作業です。単純な作業の中に、理化学的かつ視覚的な面白さがいっぱいあります。
実はツインバードの電気サイフォンもハリオ製なんです!
ここまで、ハリオの電気サイフォンに関して説明してきましたが、電気サイフォンと言えばツインバードの電気サイフォンが有名です。
でも、実はこのツインバードの電気サイフォンに使われてるガラスはハリオ製なんです。
これは、意外と知らない人も多いと思います。
ハリオは、自社で国内に耐熱ガラス工場を持っているため、このように昔から他社のガラス部品の製造を請け負っていたんですね。
両者の性能比較をしておきましょう。
ハリオ 電気サイフォン Electric Coffee Syphon | ツインバード 電気サイフォン |
サイズ 幅 180× 奥行 150× 高 270mm 360mL 3杯用 特徴 A5サイズのコンパクト設計 ダイヤルによる適温調整機能 | サイズ 約 幅255 × 奥行180 × 高 325 mm 480ml 4杯用 特徴 マグネット式コード サーバーと取っ手の取り外し可能 |
こうしてみると、ハリオの方はコンパクトを売りにしていることが分かります。
サイフォンは取り回しが悪いことが億劫で敬遠されることが多いため、その需要を満たしてくれる設計になっています。
ツインバードの方は、ハリオよりも一回り大きいですが、コードや取っ手が取り外せるなど、大きいことの不便さを補う工夫があります。
ハリオの電気式サイフォンはこんな人におすすめ
ハリオの電気式サイフォンは、サイフォンをもっと身近に手に取ってもらうことを前提に考えられた商品です。
以下のような方に、特におすすめします。
ハリオは、国内に耐熱ガラス工場を持ち、1948年から理化学品で培ったガラス加工の技術を生かして、コーヒーサイフォンの製作に着手していました。
サイフォンデビューするなら、安心安全の国内ブランドのハリオ一択です。
