オーガニックコーヒーは、ただ「身体にやさしい」だけの飲み物ではありません。
環境や生産者、そして未来のコーヒーの持続可能性を考えるうえでも、私たち消費者が選ぶ価値のあるコーヒーです。
しかし「オーガニック」と「有機」はどう違うのか、本当に信頼できる認証とは何なのか、意外と知られていないのが現実です。
本記事では、有機JAS認証の意味や他のサステナブル認証との違いについて、分かりやすく解説します。
持続可能な社会の実現は、コーヒーの未来を明るくする手段の一つです。
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オーガニックコーヒーとは?
オーガニックコーヒーとは、化学合成された農薬や化学肥料を一切使用せず、自然環境への配慮のもとで栽培されたコーヒーのことです。
つまり、有機栽培で作られたコーヒーのことなので、「有機コーヒー」「有機栽培コーヒー」という言い方もあります。
基本的には同じ意味になります。
地球環境への優しさや健康志向の高まり、またコーヒーの2050年問題などを背景に、近年ますます注目を集めています。
オーガニックコーヒーは農薬や化学肥料を使っていない
オーガニックコーヒー最大の特徴は、農薬や化学肥料を使用せずに育てられている点です。
コーヒー栽培では本来、病害虫対策として多くの農薬が使われることがありますが、オーガニックコーヒーの栽培は自然由来の資材や方法を用いて環境への負荷を抑えています。
これはコーヒーに限ったことではありませんが、一般的に有機栽培では、害虫対策に天敵昆虫を利用したり、土壌改良に堆肥や緑肥などの自然資材を使用します。
このような有機栽培の方法は、手間とコストがかかりますが、環境保護や生物多様性の維持に貢献できるため、持続可能な農業として注目されています。
オーガニックコーヒーのメリットや効果
オーガニックコーヒーのメリットは、まず安全性が高いことです。
化学物質の残留リスクが低いため、身体に優しい飲み物として安心感があります。
また、自然に近い環境で育てられているため、豆本来の味わいが引き立ちやすいという味覚面の魅力もあります。
さらに、オーガニック農法は環境保護にもつながり、土壌の健康維持や水質汚染の防止といった側面でもメリットがあります。
近年、コーヒー業界では2050年問題として、環境汚染や貧困等が原因で、コーヒーを今までのようにあたり前に入手することが難しくなることが危惧されています。
オーガニックコーヒーは、環境に配慮しつつ、コーヒーとしての付加価値を付けるという点でも、フェアトレードのような貧困対策にもつながるものとして注目されています。
オーガニックと有機JASの違いは?
「オーガニック」という言葉は広く使われていますが、日本国内で「有機」や「オーガニック」と名乗るためには、農林水産省が定めた「有機JAS認証」を取得する必要があります。
有機JAS認証を受けた農産物や加工品には、緑色の「有機JASマーク」が表示されており、栽培・加工・流通のすべての工程が基準を満たしていることを意味します。
一方、「オーガニック」という表現自体は世界的に使われている言葉のため、日本では定義が曖昧なまま使われていることもあります。
有機JASマークの有無によって、国の基準を満たしているかを見分けることができるのです。
信頼できるオーガニック製品を選ぶ際は、有機JAS認証マークがあるかどうか探すと安心です。
有機JAS認証とは?
有機JAS認証とは、農林水産省が定めた「有機食品の日本農林規格(JAS規格)」に基づき、有機農産物や加工品に対して与えられる認証制度です。
オーガニック商品として正式に「有機」「オーガニック」などと表示するためには、この認証が必須です。
有機JAS認証マークの本当の意味

有機JAS認証マークは、消費者が「これは本当に有機(オーガニック)なのか?」と、不安になることなく商品を選べるように設けられた公的な信頼の証です。
このマークが表示されている製品は、農林水産省が定めた厳格な基準に基づいて生産・加工・流通されていることが認められたものです。
マークの下には認証を行った登録認証機関の名前(例:JONA、OCIA、OCOなど)と、登録番号が記載されており、どの機関がチェックしたかも一目で分かります。
有機JASマークがあることで、消費者は商品の背景にある生産方法や安全性を安心して信頼できるのです。
有機JAS認証の基準
有機JAS認証を取得するためには、主に以下の3つの基準を満たす必要があります。
有機JAS認証は、他にも「農薬を使っていない」ということだけでは足りず、生産から出荷までのすべての工程で「有機」であることを証明する必要があります。
また、記録管理やトレーサビリティの確保も求められ、出荷ロットごとの管理や保管状態の記録など、多岐にわたる対応が必要です。
このように、有機JAS認証は単なるイメージや感覚ではなく、法的に明確な基準に則って管理されている、信頼性の高い制度と言えます。
有機JAS認証がないと「有機」「オーガニック」は名乗れない
日本では、平成11年のJAS法の改正により、有機JAS認証を受けていない農産物や加工品に「有機」や「オーガニック」といった表現を使うことは法律で禁止されています。(農林水産省HP参考)
これは消費者を誤認させないための措置であり、信頼性を守るための重要なルールです。
たとえ農薬や化学肥料を使っていなくても、正式な認証を受けていない商品に「有機」表示をした場合は、不当表示となり、景品表示法違反として行政指導や罰則の対象になります。
そのため、生産者側としても認証取得には多くの手間とコストをかけてでも、正規の手続きを踏む価値があるのです。
消費者が本物のオーガニック製品を選ぶには、有機JASマークの有無をチェックすることが欠かせません。
有機農産物の日本農林規格の一部抜粋 |
第5条 有機農産物の名称の表示は、次に規定する方法により行うものとする。 1 次の例のいずれかにより記載すること。 (1) 「有機農産物」 (2) 「有機栽培農産物」 (3) 「有機農産物○○」又は「○○(有機農産物)」 (4) 「有機栽培農産物○○」又は「○○(有機栽培農産物)」 (5) 「有機栽培○○」又は「○○(有機栽培)」 (6) 「有機○○」又は「○○(有機)」 (7) 「オーガニック〇〇」又は「○○(オーガニック)」 注)「○○」には、その一般的な農産物の名称を記載すること。 |
有機JAS認証以外のサステナブルな認証マーク
有機JAS認証以外にも、環境保護や生産者の労働環境に配慮した「サステナブルな認証マーク」は多数存在します。
これらの認証は、それぞれ異なる観点から持続可能性を支えており、消費者がエシカルな選択をするための重要な指標となります。
レインフォレストアライアンス

レインフォレスト・アライアンス認証は、熱帯雨林の保全と持続可能な農業を推進するために設けられた国際的な認証制度です。
このカエルのマークが付いた製品は、自然環境の保護、生物多様性の維持、労働者の権利保護など、複数の観点から持続可能性が認められたものです。
コーヒーにおいては、森林破壊を防ぎながら栽培されたことや、農園で働く人々の労働環境や生活水準にも配慮されていることを意味します。
近年はUTZ認証との統合により、認証基準が強化され、透明性やトレーサビリティも高まっています。
サステナブルな選択をしたい消費者にとって、見逃せないマークの一つです。
バードフレンドリー

バードフレンドリー認証は、米国スミソニアン協会が制定した認証制度で、野鳥の生息環境を守ることを目的としています。
この認証を受けたコーヒーは、森林の樹木を伐採せずに木陰の下で栽培される「シェードグロウン(陰樹栽培)」方式が必須です。
これは野鳥だけでなく、森林の生態系全体の保護にもつながります。
さらに、この認証は有機JASに準じたオーガニック認証を前提としており、農薬や化学肥料を使用しないことも条件に含まれています。
そのため、バードフレンドリー認証は「有機 × 生物多様性保護」という、非常に厳格で包括的なサステナビリティ認証だと言えます。
自然と調和したコーヒーを選びたい方には特におすすめのマークです。
フェアトレード

フェアトレード認証は、発展途上国の生産者に対して、適正な価格と労働環境を保証することを目的とした国際的な認証です。
コーヒー豆をはじめとするフェアトレード商品には、生産者に直接利益が還元される仕組みが導入されています。
フェアトレード認証農園では、児童労働や強制労働の禁止、安全な労働環境の確保などが求められています。
この制度により、生産者の生活が安定し、地域社会全体の自立支援にもつながります。
環境面でも、持続可能な農業技術の導入が推奨されており、倫理的かつエコな消費を望む人々にとって、非常に価値のある認証です。
おすすめのオーガニックコーヒー豆
オーガニックコーヒーは、環境や健康への配慮から多くの支持を集めています。
とはいえ、どれを選べばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、手軽に購入できる、おすすめのオーガニックコーヒー豆・製品を紹介します。
無印のオーガニックコーヒー カフェインレス
無印良品が販売するオーガニックコーヒー は、就寝前にも安心して飲めるデカフェタイプのコーヒーです。
使用されているコーヒー豆は、化学肥料や農薬を使用せずに育てられた有機栽培豆で、有機JAS認証も取得済み。
カフェインを除去する際には、化学薬品を使わずに「液体二酸化炭素抽出法」が用いられており、素材へのダメージが少ないのも魅力です。
私のレビューでも取り上げました。美味しいですこれ、本当に。
小川珈琲の有機珈琲オリジナルブレンド
京都の老舗ロースター・小川珈琲が提供する「有機珈琲オリジナルブレンド」は、有機JAS認証を取得したコーヒー豆を100%使用した本格派のオーガニックコーヒーです。
ペルー、エチオピア、メキシコ、ホンジュラス、インドネシア、ウガンダと様々な有機珈琲をブレンドしており、深みのあるコクと華やかな香りが特徴。
焙煎は中深煎りで、苦みと酸味のバランスが取れた味です。
ドリップバッグや豆・粉タイプなど豊富なラインナップがあり、自宅でもオフィスでも本格的な味わいが楽しめます。
マウントハーゲンのオーガニック フェアトレードインスタントコーヒー
マウントハーゲンは、ドイツ発のオーガニックコーヒーブランドで、世界中で高い評価を受けているフェアトレード認証付きのインスタントコーヒーです。
有機栽培されたアラビカ豆を使用し、農薬や化学肥料を一切使わないことはもちろん、生産者に公正な報酬が支払われるフェアトレード基準にも準拠。
一般的なスーパーではあまり見かけないので、見つけたら結構レアです。
ちなみにカフェインレスバージョンもあり、そちらは緑色のフタになっているのでわかりやすいです。
カルディのオーガニックデカフェ と カフェオレベース

出典:カルディコーヒーファーム

出典:カルディコーヒーファーム
カルディの「オーガニックデカフェ」は、カフェインを控えたい方にぴったりの、有機JAS認証取得済みのコーヒー豆を使ったデカフェコーヒーです。
水を使ったカフェイン除去法が採用されており、やさしい口あたりとビターキャラメルをのような甘さが特徴です。
カルディは全国どこでもあるので入手しやすいのも魅力ですね。
カルディでは、他にも「オーガニック デカフェ カフェオレベース(濃縮コーヒー)」という商品もあり、こちらも有機JAS認証商品です。
三本珈琲のオーガニックドリップコーヒー
三本珈琲は1957年創業の業務用コーヒーの焙煎加工を行ってきた会社です。
こちらのオーガニックドリップコーヒーは、スーパーでも取り扱われている商品になります。
コロンビア産の有機JAS認定コーヒーで、かつレインフォレストアライアンス認証も取得していて、アラビカ豆100%という贅沢なドリップパックです。
W認証をしている割には、リーズナブルでドリップパックで手軽に楽しめるという魅力たっぷりの商品です。
オーガニックコーヒーを飲むことでコーヒーの未来は明るくなる
コーヒーは私たちの日常に欠かせない存在ですが、その未来は安泰ではありません。
気候変動や生産地の貧困問題により、2050年には現在のように手軽にコーヒーを楽しめなくなる可能性が示唆されています。
そんな中、オーガニックコーヒーは持続可能な農法を採用し、自然環境の保護と生産者の生活支援を両立させる重要な手段です。
私たちが日々の一杯を「オーガニックコーヒー」にすることは、コーヒー産業のサステナビリティを支える力になります。
個人の選択が、地球規模の課題解決につながる。
そんな未来志向の消費行動として、オーガニックコーヒーを選ぶ意義はますます大きくなっていきます。