ハリオの「Flow Dripper TRITAN」は、磁石軸を使ったユニークな仕組みを持つ、ハリオ初のフラットボトム型ドリッパーです。
その特徴的な機構から「どんな特徴があるの?」「使い方は難しい?」と気になる方も、多いのではないでしょうか。
本記事では、実際に使用して分かった特徴や使い方のポイント、磁石軸の意味、カリタウェーブとの違いまで詳しく解説します。

コーヒーインストラクター2級の私が、購入を検討している方に役立つ情報をまとめていきますので、参考にしてください。
目次
ハリオ Flow Dripper とは?
ハリオの「Flow Dripper」は、ハリオのコーヒードリッパーの中では、あまり見かけない形状をしています。
名前は聞いたことがあるけどその詳細はよくわからない、という人がほとんどだと思います。
ここでは、商品写真だけではよくわからない「Flow Dripper」のヒミツを詳しく解説していきます。
Flow DripperはHARIO台湾が開発のギミック満載のドリッパー

「Flow Dripper」は、ハリオ台湾が「Tri-up Coffee」さんと共同開発したドリッパーです。
当初は、日本のハリオ公式では取り扱いがなく、その特殊な機構と相まって、日本では一部のコーヒーマニアの中だけで話題になっていたドリッパーでした。
その「Flow Dripper」が、日本のハリオからも取り扱いされることとなり、注目を集めています。
元は陶器製で「01」サイズのものでしたが、日本で取り扱われる「Flow Dripper」はトライタン製の「02」サイズです。
「Flow Dripper」の注目ポイント
・磁石軸を使った特殊な機構
・ハリオ初の平底(フラットボトム)ドリッパーでウェーブフィルターに対応
ちなみにハリオ台湾からはもう一つ、「ALPHA DRIPPER」(アルファドリッパー)という円すいドリッパーも出ています。
こちらも詳しく解説していますので、以下をご参考に!
ハリオ 「Flow Dripper TRITAN」の本体とパーツの詳細

まずは、ハリオ「Flow Dripper TRITAN」の基本的な商品情報を紹介しておきます。
「2-4杯用」との表記がありますが、私が実際に使った限りでは、別に「1人用」の分量で抽出しても問題ないように感じました。
「Flow Dripper」の商品スペック
品番:FDT-02-B
容量:2-4杯用
材質
本体:PCT樹脂(トライタン)
パッキン:シリコーンゴム
磁石の軸部分:PCT樹脂、磁石、食品接触対応接着剤
原産国:台湾製
8つの穴と磁石内蔵の軸が真ん中にある

また、純粋な平底ではなく8つの突起がある

手でスッと取れるが反対向けても落ちない程度の磁力
底は取り外せる、パッキンもカンタンに取り外し可能


装着時は本体とぎゅっと密着している。

全4パーツで構成されている

「Flowドリッパー」と「FLOドリッパー」は違うので要注意!
ハリオの「Flow ドリッパー」と似た名前で「FLOドリッパー」という商品があります。
「Floドリッパー」は、電動コーヒーミルメーカー「VARIA」と、京都のコーヒーショップ「Kurasu」が共同開発したドリッパーです。
名前が似ているだけでなく、どちらもフラットボトムと言われる平底でウェーブフィルターを使うことから、少し混同しやすいので注意してください。
この記事では、ハリオの「Flow」ドリッパーについて取り上げていきます。
ハリオ Flow Dripperの使い方の基本
ハリオの「Flow Dripper」は、その特殊な機構から、使い方が難しそうに思われるかもしれません。
以下に、私が実際に動画で使い方をまとめたので、こちらを見て参考にしてください。
動画だけでもなく、以下に文章でもまとめておきます!
Flow Dripperの使い方
※これは基本的な使い方の一例です。他にも様々な使い方があります。
- 真ん中の磁石の軸は外しておく
- カリタのウェーブフィルターをセット
(動画は155サイズを使用。他サイズは検証していません。) - 磁石の軸をセット
- お湯でリンスし、ペーパーをしっかり底に密着させる
- コーヒー粉をセット(お好みの量で)
- 本体を左右に振って、コーヒー粉を平らにならす
- まずは少量のお湯で円を描いて粉全体を蒸らす(30秒程度)
- 蒸らした後は「円を描くか?」「真ん中の軸にかけるか?」の2種類の注ぎ方を自由に試す
ココだけは要注意ポイント!
リンスをしないと、ペーパーと底のすき間が大きくブカブカなので、序盤の抽出が安定しない可能性が高いため、リンス推奨です。
私は普段、円すいドリッパーでリンスをしない派閥なんですが、このドリッパーに関してはした方がいいと感じました。

ハリオ Flow Dripper の使って分かった特徴
ハリオ 「Flow Dripper」を、実際に使ってみて感じた特徴をまとめていきます。
磁石の軸にどんなメリットがあるのか、もう少し理解していただけると思います。
特徴①「Flow Dripper」は、2種類の注ぎ方ができる


「Flow Dripper」は、円を描くように注ぐ方法と、真ん中の磁石軸に注ぐ、2種類の注ぎ方をすることができます。
以下に実際に私が、2種類の注ぎ方をして感じた違いをまとめました。
見違えるような大きな変化はありませんでしたが、確かに違いはありました。
これは極端に一つの方法を、ずっとやり続けた場合の比較ですが、これを一回の抽出の中でいろいろ変えながら味の変化を追究することができます。
注ぎ方による味の変化
・ずっと円を描いて抽出
「味の輪郭が明瞭。甘さや酸味や苦みがはっきりしている。」
・ずっと真ん中の軸にかけて抽出
(最初だけ円を描いて全体蒸らし)
「味の輪郭がぼやける代わりに、ボディが感じられる。」
※あくまで個人の感想です、条件やコーヒー粉によっても感じ方は異なります
特徴②磁石の軸があることで、注ぎが安定する
これは視覚的な作用による恩恵でもありますが、真ん中に軸があることで「注ぎのガイド」のような役割を果たしているように感じました。
特に円を描く際に、何も指標がないと、きれいな円を描くことは難しいので、この軸の存在は大きいと思います。
また、真ん中の軸に向かって注ぐ抽出方法は、誰がやっても大きな違いが出にくい注ぎ方です。
このように2種類の注ぎ方、どちらにおいても安定抽出ができるような機構になっていると言えます。
以下のように、公式パッケージに「少量のコーヒー粉でも均一な抽出ができ」とあるのも、そのようなガイド的な役割とフラットボトムによるコーヒー粉が均一にお湯に浸る機構からきているものだと思います。

特徴③カリタのウェーブドリッパーのように使うことも可能


ハリオ 「Flow Dripper」の最大の特徴は「磁石の軸」にあることに間違いありません。
ただ、この「磁石の軸」をあえて使わず、カリタのウェーブドリッパーのように使うこともできます。
見てもらえれば分かりますが、「Flow Dripper」の磁石の軸を取るだけで、簡易的に「8つ穴のウェーブドリッパー」になります。
そこで、「Flow Dripperの軸なし」と「ウェーブドリッパー」で、同じ条件で味の比較をしてみました。
カリタウェーブドリッパーとの比較
若干、カリタウェーブドリッパーの方が酸味を感じたが、2つに大きな違いはなく、むしろ似ている。
※あくまで個人の感想です、条件やコーヒー粉によっても感じ方は異なります
まとめ:HARIO「Flow Dripper TRITAN」は、1台でいろんなことが試せるドリッパー
HARIO「Flow Dripper TRITAN」は、磁石の軸を使ったとても個性的な機構を持ったドリッパーです。
そのギミックからも、1台持っていればいろんなことが試せる面白いドリッパーになっています。
- 2種類の注ぎ方を楽しめる
- 安定した抽出が可能
- カリタウェーブの代用にもなる
フラットボトム(平底)のドリッパーを試したことがない人や、コーヒー抽出を比較研究するのが楽しい人にとっては、ピッタリのアイテムだなと感じました。
そして、最後にここまで読んだ方にオマケの情報ですが、「Flow Dripper」には楽しめる要素がもう一つ隠されています。
それは、セットする軸の位置の違いです。
以下を見ていただければわかりますが、軸の凸凹と、本体の凸凹を合わせるか、合わせないかという選択肢があるのです。
かなりマニアの世界では、この違いも楽しんでいる方がおられるという噂は聞きます。
私には、そこまで追求する熱意はないので、今日はこの辺で(笑)
最後まで読んでくださってありがとうございました。

